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HACCPにおける温湿度管理

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温湿度と細菌等の増殖は関係性が深く、HACCPの前提となる一般衛生管理では、施設の温湿度管理にも注意が必要だと定められています。ここでは、HACCPにおける温湿度管理について詳しく解説しています。

温湿度管理を実施する理由

HACCPの前提となる一般衛生管理で温湿度管理をする理由の1つは、細菌やウイルスの増殖防止です。細菌等が増殖する条件は栄養・水分・適温の3要素が揃うこと。施設の温湿度管理を実施することで、食材の残り滓などから細菌等が増殖しにくい環境をつくり、食材汚染を予防します。

施設の温湿度管理をする2つ目の理由は、従業員の熱中症予防です。厨房の温湿度が高いと従業員の体調に影響を与え、作業に支障をきたす可能性があります。また、従業員の健康管理は使用者の安全配慮義務に当たるため、従業員が熱中症になった場合は労災として損害賠償を請求される可能性もあります。

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温湿度管理の基準

施設の温湿度管理の基準は、厚労省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」や「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」で定められています。

「大量調理施設衛生管理マニュアル」では、「施設の換気によって高温多湿を避け、湿度80%以下・温度25℃以下を維持することが望ましい」とされています。

「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」では、「厨房内の温度を25℃以下に維持し、細菌等の増殖至適温度(30~45℃)に近付けないようにすること」が記載されています。

温度・湿度が不安定になる原因

食品事業者の温度と湿度が不安定になるのは、事業所で異なります。一般的な事業所の屋内の温度・湿度が不安定になる原因は、次の通りです。

外部からの熱が入りやすい

工場や倉庫に周囲から熱が侵入するケースがあります。例えば、ボイラー近くや直射日光のあたる窓際は外部から熱が入りやすく、温度と湿度が変化しやすい環境です。食品事業所の温湿度管理は、熱源に注意しましょう。

気密性が低い

保管庫などの気密性が低いと、隙間から空気が室内に入り込みます。機密性の低い空間は、外部から流れ込む空気によって、空間内の空気の温度と湿度が頻繁に変化することも。食品事業所は機密性に注意が必要です。

人の出入りが多い

人の出入りが多い空間は、出入口から空気が流れ込み、温度と湿度の変化をもたらします。また、納品や出荷のための部屋は運搬車の出入りもあるため、温度と湿度の変化は急激です。

季節ごとの調整ができていない

事業所の空調や換気システムが整っていなければ、季節ごとの温度と湿度の変化の調整ができません。全体空調の場合でも、外気変動と無関係ではなく、季節ごとの調整ができていないならば事業所内の温度と湿度が不安定になります。食品事業所の温湿度管理は、季節や雨天時の空調や換気システムの調整が大切です。

温湿度管理の実施方法

温湿度管理の方法には、計測器と温度調整設備の活用が考えられます。ここでは、「計測器を使った計測」と「温湿度調整設備の活用」について紹介します。

計測器を使った計測

冷暖房による温度管理をする場合、事業所の場所によって温度の差が出てしまうことが普通です。冷暖房の設定温度と実際の温度が異なることを防ぐためには、計測器を使用した測定を行います。

温度と湿度を実際に図る温湿度計はアナログ型がよく活用されています。アナログ型の温湿度計は現場で数値を確認することが必要です。数値管理をデジタルにした温湿度センサーも存在し、温湿度管理を効率化しています。

温湿度調整設備の活用

温湿度調整設備は、冷暖房だけでなく、加湿器、扇風機、換気扇があります。加湿器は湿度の調整を行えます。扇風機は温度調整のほか、空気循環にも有用です。

適切な温湿度調整設備を適切な環境に使用することで、部分的に温湿度の調整ができます。このとき、温湿度調整設備は定期的にメンテナンスを行い、設備の機能を維持しましょう。

温湿度管理は設備任せにせず計測を

食品事業所の温湿度管理が不十分であれば、カビや細菌の発生・増殖を招き、食中毒の原因になります。食品事業所の温湿度管理の効果を高めるには、温湿度調整設備だけに任せず、実際に計測することが大切です。

HACCPシステムは温湿度管理に対応し、食品事業所の食中毒予防に貢献します。HACCPシステムについて詳しく知りたい方は、下記のリンクにお進みください。

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温湿度管理のQ&A

HACCPの前提となる一般衛生管理に必要な温湿度管理について具体的に考えてみましょう。

スポットクーラーや扇風機を使っても良い?

スポットクーラーや扇風機を使っている工場や厨房があります。しかし、スポットクーラーや扇風機の使用は、食品事業所において望ましくありません。スポットクーラーのパイプの中にはカビが生えやすく、清掃なしでの長期使用は食材汚染のリスクが考えられます。また、扇風機の使用は天井の落下菌の影響が考えられるため、菌をばらまき食材を汚染する可能性があります。

室温が調整できないケース

室温が調整できなくても食材をその場に置く時間を短くすれば問題はありません。作業を工夫すれば食材の放置時間を短くすることが可能です。例えば、冷凍食材を冷蔵庫で解凍する、下処理後に放置せずに冷蔵庫で保管するなどの工夫があります。

ページ監修:力丸修也
行政書士、JHTC認定HACCPリードインストラクターとJFS監査員研修修了。
HACCPコンサルタントとしては、レトルト食品会社、そうざい業、冷凍食品業者等の実績あり。

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