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レストランで考えるべきHACCPとは
レストランや食堂はメニュー数が多く、季節ごとの入れ替えも頻繁なため、「すべての料理に対してHACCP計画を作るのは無理だ」と頭を抱えるオーナー様も少なくありません。しかし、レストランのHACCPは全メニューを個別に管理するのではなく、調理工程ごとにグループ分けするのが基本です。本記事では、メニュー豊富な飲食店でも無理なく実践できる分類のコツと、食中毒リスクを防ぐ衛生管理のポイントを解説します。
レストランにおけるHACCPとは
2021年6月から完全義務化されたHACCPですが、小規模な一般飲食店(レストラン含む)は「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の対象となります。ここで重要になるのが、厚生労働省の手引書にも示されている「メニューのグループ化」という考え方です。
メニューを「3つのグループ」に分ける
何十、何百とあるメニューを一つずつ管理計画に書く必要はありません。調理工程が似ているものをまとめて、大きく3つのグループに分類して管理します。
まず第1グループは「非加熱のもの」です。これは冷蔵庫から出してそのまま提供するもの、あるいは加熱せずに切って提供するものが該当します。例えば、サラダ、刺身、冷奴、カットフルーツ、ドリンク類などがこのグループに入ります。
次に第2グループは「加熱してすぐ提供するもの」です。加熱調理を行い、熱いまま提供する料理を指します。ステーキ、ハンバーグ、焼き魚、天ぷら、炒め物などが代表的で、これらは適切な温度まで加熱することが管理の要となります。
最後の第3グループは「加熱後冷却し、再加熱して提供するもの」です。加熱調理後に一度冷却して保存し、注文後に再加熱するもの、あるいは冷たいまま提供する料理が該当します。カレー、スープ、シチュー、ポテトサラダ、チャーシューなどがこれにあたります。
レストランでは、このグループごとのチェックポイントさえ決めてしまえば、新メニューが登場しても、どのグループに該当するかを判断するだけでスムーズに管理が可能になります。
レストラン特有の「交差汚染」対策
レストランの厨房では、肉、魚、卵、野菜など多種多様な食材が同時に扱われます。ここで最も警戒すべきは「交差汚染(二次汚染)」です。
例えば、生肉を切った包丁でそのままサラダ用の野菜を切れば、野菜に菌が付着し、加熱されずに客席へ運ばれてしまいます。こうした事故を防ぐためには、肉用、魚用、野菜用、調理済み用といった用途ごとにまな板や包丁を色分けして使い分けることが効果的です。また冷蔵庫内での保管においても、肉汁が垂れて他の食材を汚さないよう、肉や魚は最下段に保管するといったルール作りが、レストランHACCPの重要な基礎となります。
レストランで発生しやすい食中毒リスクと事例
多種多様な食材を扱うレストランでは、リスクも多岐にわたります。ここでは実際に発生しやすい食中毒の事例と原因を紹介します。
ハンバーグ等の加熱不足によるO157食中毒
レストラン、特に洋食店やステーキ店で最も注意が必要なのが、ハンバーグや成形肉(サイコロステーキ等)の加熱不足です。ステーキのような一枚肉と異なり、挽き肉料理は内部に菌が入り込んでいる可能性があるため、表面だけでなく中心部まで十分に加熱する必要があります。実際に、飲食店で加熱不十分なハンバーグなどを喫食したことにより、腸管出血性大腸菌O157の食中毒が発生した事例が報告されています。厚生労働省も、ハンバーグ等の挽き肉料理や結着などを行った成形肉は、中心部まで十分に加熱(75℃で1分間以上)して食べるよう強く呼びかけています。
作り置きのカレーや煮込み料理によるウエルシュ菌
ランチタイムやディナーのピークに合わせて大量に仕込むカレー、シチュー、スープなどで発生しやすいのがウエルシュ菌による食中毒です。東京都の報告事例によると、ある飲食店で前日の昼に調理したカレーを大鍋に入れたまま常温で放置し、翌日の昼に再加熱して提供したところ、喫食した客が下痢や腹痛を訴える食中毒が発生しました。ウエルシュ菌は熱に強い芽胞を作るため、加熱調理をしても生き残り、その後の冷却過程(約20℃〜50℃)が長く続くと爆発的に増殖してしまいます。
調理従事者からのノロウイルス感染と二次汚染
食材そのものではなく、スタッフを介した事故も多発しています。特に冬場はノロウイルスによる食中毒が増加しますが、その原因の多くは調理従事者を介した食品の汚染です。過去には、調理従事者がノロウイルスに感染していることに気づかず、手洗いが不十分なまま食品に触れたことで、大規模な食中毒に繋がったケースも報告されています。本人が無症状であってもウイルスを保有している場合があるため、体調不良の申告だけに頼る管理には限界があります。
レストランが行っている衛生管理
上記のようなリスクを防ぐために、HACCP導入済みのレストランではどのような管理を行っているのでしょうか。具体的なアクションを見ていきましょう。
中心温度計を使用した加熱状態の確認と記録
ハンバーグやローストビーフなどの第2グループ(加熱メニュー)については、「見た目の焼き色」や「肉汁の色」といった感覚のみに頼るのをやめ、中心温度計を使用します。具体的には、中心温度が75℃以上で1分間以上加熱されているかを確認し、その数値を記録簿に記入します。すべての料理で測るのが難しい場合は、ピーク前の仕込み時や、数食に1回の抜き打ち確認など、頻度を決めて実施することでリスクを管理します。
煮込み料理の急速冷却(小分け保存)
ウエルシュ菌の増殖を防ぐため、第3グループ(加熱後冷却)のメニューは「いかに早く冷ますか」が管理ポイントになります。大きな寸胴鍋のまま冷蔵庫に入れると中心部が冷えるまでに時間がかかってしまうため、底の浅いバットに小分けにして移し替えたり、氷水を張ったシンクで鍋ごと急冷したりするなどの冷却工程を行います。菌が増殖しやすい危険温度帯を速やかに通過させる工夫が必要です。
従業員の体調管理と正しい手洗いの徹底
人が多く出入りするレストランでは、従業員の健康管理(一般衛生管理)が最優先です。出勤時に下痢、嘔吐、発熱がないかをチェックし、記録に残します。また、指の傷の有無も確認します。手洗いについては、トイレの後、生肉を触った後、盛り付けの前など、具体的なタイミングをマニュアル化し、アルコール消毒だけでなく石鹸による手洗いを徹底させる運用が求められます。
レストランのHACCP運用、紙管理の限界とシステム化のメリット
レストランの厨房は戦場のように忙しく、水や油で濡れていることも多いため、紙の帳票での管理には多くの課題があります。記録用紙が汚れてしまったり、忙しいピークタイムにペンを持って記録するのが現実的に難しかったりすることも珍しくありません。また、季節メニューが変わるたびに管理計画書を作り直す手間や、アルバイトスタッフによる記録の信憑性確保といった問題も発生しがちです。
そこで近年、多くのレストランが導入を進めているのがHACCP管理システムです。システム化することで、スマホやタブレットで数回タップするだけで記録が完了するため、現場の負担を大きく減らすことができます。メニュー変更があってもアプリ上で簡単に項目の追加や削除ができ、アラート機能によって記録漏れを防ぐことも可能です。さらにデータはクラウド保存されるため、保健所の立ち入り検査時もスムーズに提示できるなど、多忙なレストランこそシステム導入のメリットは大きいと言えます。
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おすすめHACCPシステムをチェック
おすすめのHACCPシステム3選
Googleで「HACCP システム」「HACCPシステム ツール」と検索してそれぞれ10ページ目までを調査(2023年10月10日時点)。 HACCPシステムの公式サイトが表示された20製品(スマホアプリを除く)の中で、HACCP導入に必須となる「衛生管理計画書作成機能」と、記録の抜け漏れや問題があった時に管理者にお知らせが届く「アラート通知機能」がどちらも搭載されているHACCPシステムを3つご紹介します。
(ライオンハイジーン)

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