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海外におけるHACCP

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日本では2020年6月から、農業以外のフードサプライチェーンHACCPを導入することが必須になりました。HACCPはアメリカをはじめ海外ではすでに導入されており、国際的な食品安全の基準として採用されています。

海外に日本の食品を輸出する際は、輸入する側の食品安全の基準に合わせる必要があります。ここでは、海外でのHACCP導入状況や輸出時のHACCP認証についてまとめました。

海外でのHACCP導入状況

HACCPは、1960年代にアメリカのNASAで開発された食品安全の方法です。その始まりは宇宙食の開発と深く関係しています。それからその方法が合理的であるため、世界的に広まっていきました。海外でのHACCP実施状況について見ていきましょう。

アメリカ

HACCPの開発国であるアメリカでは、1997年に水産業や食肉業にHACCPの導入が進み、他の業種へ順次導入を行っています。HACCPに係る食品関係施設はFDAの登録が必要で、どの事業者のどの工程で食品事故が発生したのかを特定できる仕組みが整っています。

カナダ

カナダでは、アメリカより早い1992年から水産業と食肉業にHACCPの導入を行っています。

EU

イギリスを含むヨーロッパ諸国では、2006年に農業を除く全ての食品関係業者にHACCPの実施が始まりました。現在も広範囲の食品関係業種に高い水準のHACCPが求められていますが、伝統的製法で製造される食品業者に対しては、HACCPを弾力的に導入する措置が講じられています。

オーストラリア

日本にも多くの食品を輸出するオーストラリアでは、乳製品製造業、食肉業、水産業に対して1992年からHACCPの実施が求められています。

中国

中国では、食品を輸出する施設にHACCPの導入が義務化されています。HACCPは海外の基準に対応するためという意味合いが強いようで、国内向けの食品についての基準は不明です。

韓国

韓国では、日本より早い2012年から食品関係業者に対するHACCPの義務化が段階的に進んでいます。

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輸出時のHACCP認証について

HACCPは日本よりも海外で早く導入が進んでおり、日本から食品を輸出するには、HACCPの実施はもちろん、その国が求める食品安全の基準を満たしていることが求められます。ここでは日本政府又は第三者認証機関等のHACCP認証が必要な国と対象食品について考えていきます。

海外への輸出時HACCP認証
引用元HP:厚生労働省公式HP(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/koudou/what_haccp/attach/pdf/haccp_law-2.pdf)

アメリカ

アメリカでは、水産物、水産加工品、牛肉について日本政府又は第三者認証機関等のHACCP認証が必要です。

カナダ

カナダでは、牛肉について日本政府又は第三者認証機関等のHACCP認証が必要です。

EU

EUでは、水産物、水産加工品、牛肉、鶏肉について日本政府又は第三者認証機関等のHACCP認証が必要です。

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食肉及び水産食品の輸出に関するHACCP等に係る施設認定等要件

食肉

輸出先国・地域(畜種) 主な輸出要件 施設等認定者等 施設認定等の要件
米国(牛肉) 施設認定
衛生証明書の添付
厚生労働省 HACCP
カナダ(牛肉) 施設認定
衛生証明書の添付
厚生労働省 HACCP
香港(牛肉) 施設認定・衛生証明書の添付
30か月齢未満の牛由来
厚生労働省 HACCP
シンガポール(牛肉・豚肉) 施設認定 シンガポール政府 HACCP又は
HACCPと同等
衛生証明書の添付 都道府県等
EU(牛肉) 施設認定 厚生労働省 HACCP
衛生証明書の添付 都道府県等及び動物検疫所
メキシコ(牛肉) 施設認定 メキシコ政府 HACCP
衛生証明書の添付 都道府県等
ニュージーランド(牛肉) 衛生証明書の添付 都道府県等 対米又は対EU認定
施設が輸出可能
フィリピン(牛肉) 施設認定
衛生証明書の添付
都道府県等 HACCP
台湾(牛肉) 施設認定 台湾政府 HACCP
衛生証明書の添付 都道府県等
マレーシア(牛肉) 施設認定 マレーシア政府 HACCP
衛生証明書の添付 都道府県等
インドネシア(牛肉) 施設認定 インドネシア政府 HACCP
衛生証明書の添付 都道府県等
ブラジル(牛肉) 施設認定 ブラジル政府 HACCP
衛生証明書の添付 都道府県等

情報引用元:厚生労働省「輸出にHACCPが必要な国・地域」(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/koudou/what_haccp/attach/pdf/haccp_law-2.pdf)

水産食品

輸出先国・地域(畜種) 主な輸出要件 施設等認定者等 施設認定等の要件
米国 施設認定 都道府県(衛生部局)
民間機関
FDA-HACCP
EU 施設認定
衛生証明書の添付
都道府県(衛生部局)
水産庁
EU-HACCP
ブラジル 施設登録
衛生証明書の添付
ラベルの登録
登録検査機関 HACCP
ニュージーランド 衛生証明書の添付 都道府県(衛生部局) EU-HACCP

情報引用元:厚生労働省「輸出にHACCPが必要な国・地域」(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/koudou/what_haccp/attach/pdf/haccp_law-2.pdf)

輸出に求められるHACCPおよび民間認証

食品を海外へ輸出するとき、輸出先によってはHACCPへの対応が求められます。
たとえば日本から輸出する際に、日本政府または第三者認証機関等によるHACCP認証が必要なのは

また、米国やEUでは認証までは必要ないものの、すべての食品(EUにおいては一次食品を除く)でHACCPの実施が求められています。

相手国の規制とEUへの輸出

欧米などへ植物や畜産物などの食品を輸出するとき、相手国の規制として動植物検疫や食品安全規制を受けます。食品安全規制ではHACCPの衛生基準が求められ、加工食品においてはHACCP認証を得ていないと取引を行えません。

また、EUへの食品輸出では、まず放射性物質の検査証明や産地証明を提出する必要がある品目や地域があります。そのうえで動植物検疫や食品安全規制を受け、生鮮牛肉や生鮮鶏肉、水産食品、乳、卵、加工食品においてはEU・HACCPへの対応が求められます。

まとめ

HACCPの制度化は、海外ではかなり前から取り入れている国もあり、食品の輸入・輸出において重要なファクターとなっています。そのため海外輸出をする際は、その国の制度に合わせた食品安全の取り組みを行うことが必要です。

アメリカへの牛肉輸出のように、特別な食材に関しては日本政府又は第三者認証機関等のHACCP認証が求められるケースも少なくありません。そのため、卸業者や工場などでは海外に食品を輸出する場合を踏まえて、FSSC規格やJFS-C規格のような第三者認証を検討することも。国も輸出向けの補助金を用意するなど、衛生管理基準を浸透させるために動いているようです。

参照元:農林水産省公式HP(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/haccp/)

ページ監修:力丸修也
行政書士、JHTC認定HACCPリードインストラクターとJFS監査員研修修了。
HACCPコンサルタントとしては、レトルト食品会社、そうざい業、冷凍食品業者等の実績あり。

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