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HACCPの導入支援
2018年(平成30年)6月、食品衛生法の改正により、農業を除くフードサプライチェーンにHACCPに沿った衛生管理の導入が決まりました。そのため、2021年(令和3年)6月までに、全ての食品事業者にHACCPの導入を完了している必要があり、HACCPの導入が進んでいない事業者ではできる限り早く取り組むことが重要課題といえるでしょう。ここでは、導入を進めるために日本食品衛生協会にが実施している「HACCP導入支援」について説明しています。
日本食品衛生協会によるHACCP導入支援
日本食品衛生協会とは
日本食品衛生協会は、1948年(昭和23年)に「飲食に伴う危害の発生と公衆衛生の向上」を目的に設立された公益社団法人です。食品衛生指導員を中心に食品事業者等の衛生指導を長年続けています。各種講習会を開催することで、食品衛生を担う人材を養成し、食品衛生に関する考えを普及しています。
HACCPの導入では協会が認定する「HACCP普及指導員」を派遣し、食品事業者等にHACCPの導入と運用の支援を実施しています。さらに、HACCPに関する講習会も各都道府県の食品衛生協会で実施し、全国の食品事業者等にHACCPを普及させることを目標に励んでいます。
HACCP普及指導員とは
「HACCP普及指導員」とは、HACCPの一定基準(厚労省通知)をみたす講習を修了し、食品衛生協会の指導者研修を受講することで、登録が可能になるHACCPコンサルタントのこと。HACCPの導入や適切に運用できているかを検証できる一定の知識・経験を有し、食品事業者に協会を通じて派遣される専門家です。
食品衛生協会が認定するHACCPコンサルタントが食品事業者等を指導することで、全く知識がない状態からでも安心してHACCPに関する支援を受けることが可能になります。なお、HACCP普及指導員は3年毎の更新となっているため、最新の正しい知識をもとに指導を行うことが可能です。このような派遣システムを整えることで、HACCPや食品衛生に関する知識をもった人員が企業に適切な指導を行えるようにしています。
HACCPフォローアップ及び普及啓発事業(支援事例)
平成28年度及び29年度に農林水産省補助事業として、主にHACCP普及指導員がHACCP導入間もない食品事業者の運用状況を検証する事業を食品衛生協会が実施しました。様々な業者のHACCP導入事例を紹介していますので、自業種に近いものから実際のHACCP対応を学んでいきましょう。
菓子製造業(仙台市)
モナカやヨーカン等の菓子をつくる仙台市の製造工場では、安全・安心な原材料を使用するなど、もともと食品の品質にこだわっていました。そこにHACCPを積極的に取り入れることで、微生物と異物管理を徹底し、消費者に安全な製品を届けることが可能になっています。
漬物製造業(広島市)
安藝菜(浅漬け)や安藝紫(古漬け)をつくる広島市の漬物製造工場では、原材料から製品化まで低温で管理する必要があり、積極的にHACCPを導入しています。低温管理をHACCPに基づいて行うことにより、安全安心な製品を消費者に提供できるようになっています。
そうざい製造業(宮城県石巻市)
さんま蒲焼やさば照焼等をつくっている宮城県石巻市の水産加工業者では、材料にこだわり、特製のタレを使った製品を提供しています。HACCPでは微生物や金属異物管理を徹底し、安全性を高めた加工食品を提供できるシステムを整えています。
富山市そうざい製造業
弁当やおせち料理の製造をしている富山市の会社では、料理人が長く培ってきた技術でそうざいの調理・製造をしてきました。HACCPを導入することにより、微生物と金属異物の管理を特に徹底できるように。また、従業員の衛生教育を通じ、高品質の製品を提供することを目指しています。
菓子製造業(徳島市)
ソフトムーンケーキ等の製造をしている徳島市の会社では、地元の素材を活用する6次産業化や製造技術にこだわってきました。HACCP導入では、熟成工程、金属探知工程、包装工程を重要管理点に設定し、安全安心な製品を消費者に届けています。
JA(福島県伊達市)
原子力発電所事故の影響で伊達市のあんぽ柿の加工は自粛していました。2016年(平成28年)から加工が再開され、製造所もHACCP認証を受け、金属探知機や放射線検査等を重要管理点に定め、安全な製品を消費者に届けられるようにしています。
ページ執筆・監修:力丸修也
行政書士、JHTC認定HACCPリードインストラクターとJFS監査員研修修了。
HACCPコンサルタントとしては、レトルト食品会社、そうざい業、冷凍食品業者等の実績あり。
これから導入したい企業に
おすすめHACCPシステムをチェック
おすすめのHACCPシステム3選
Googleで「HACCP システム」「HACCPシステム ツール」と検索してそれぞれ10ページ目までを調査(2023年10月10日時点)。 HACCPシステムの公式サイトが表示された20製品(スマホアプリを除く)の中で、HACCP導入に必須となる「衛生管理計画書作成機能」と、記録の抜け漏れや問題があった時に管理者にお知らせが届く「アラート通知機能」がどちらも搭載されているHACCPシステムを3つご紹介します。
(ライオンハイジーン)
- 衛生管理のプロのノウハウが凝縮
- 約60項目が網羅された衛生管理計画書が標準搭載
- 衛生管理のコンサルも可能
- 衛生管理計画書
- 手順書(マニュアル)
- ダッシュボード
- カスタマイズ
- PDF(帳票)出力
- アラート機能
- ほか
企業におすすめ
(KAMINASHI)
- 点検時の状況を撮影し事故防止
- 音声にも対応するメモ機能
- 外国人労働者向けの多言語化対応
- 衛生管理計画書
- ダッシュボード
- 条件分岐ルール作成
- 音声メモ
- 多言語化機能
- アラート機能
- ほか
(UPR)
- IoT温度管理で自動的に記録
- 開店前・営業中・閉店後のチェックリスト作成可
- 異常時はアラート機能で通知
- 衛生管理計画書
- カスタマイズ
- 帳票出力
- IoT温度管理
- 健康管理
- アラート機能
- ほか