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コンビニが考えるべきHACCPとは
おでんやコーヒーなどのコンビニの簡易な調理品にも「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を取り入れる必要があります。コンビニにおけるHACCPは簡易な調理品を対象としたもので、難しいことではありません。ここでは、コンビニにおけるHACCPについて詳しく解説しています。
コンビニで多発する食中毒と原因物質
コンビニエンスストアで販売される弁当や惣菜による食中毒は、実は日常的に発生しています。過去10年間の厚生労働省食中毒統計資料によると、食中毒患者全体の約51%がウイルスを原因としており、そのうち99%がノロウイルスです。つまり、食中毒患者のおよそ半数はノロウイルスによるものなのです。
コンビニの簡易調理商品やお弁当に関連する食中毒を予防するためには、まずどのような病原体がリスクになるのかを理解することが重要です。ここでは、コンビニで特に注意が必要な食中毒の種類と、その原因物質について解説します。
ノロウイルスによる食中毒
ノロウイルスは、過去10年間の食中毒患者数で最も多い原因物質です。感染者の便や嘔吐物には膨大なウイルスが含まれており、感染者の便0.1gあたり約1億個のノロウイルスが存在すると言われています。
特に危険なのは、調理従事者の手指を介した二次汚染による集団食中毒です。生ガキなどの二枚貝が原因と思われがちですが、実際のノロウイルス食中毒のうち約10%程度に過ぎません。多くの場合、調理従事者がトイレから調理場にウイルスを持ち込んでしまうことが原因です。特に自分がノロウイルスに感染していることに気づかないまま調理を続けてしまうケースが、学校給食やお弁当屋、コンビニの惣菜製造工場で報告されています。
主な症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛で、発熱は軽いことが多いです。潜伏期間は1~3日と比較的短いため、食べた直後に症状が現れることもあります。
カンピロバクターによる食中毒
カンピロバクターは、細菌性食中毒の中でも非常に多い原因物質です。特に生の鶏肉には新鮮であってもカンピロバクター菌が汚染していることが多く、加熱調理が前提となっています。
飲食店では鶏刺しや加熱不足による食中毒が報告されていますが、家庭やコンビニでは鶏肉を調理した後のまな板やシンク、手指からお惣菜への交差汚染による食中毒が多発しています。調理器具や手の洗浄を徹底しないと、鶏肉からの菌が他の食材に付着してしまうのです。
アニサキスによる食中毒
アニサキスは魚の寄生虫であり、過去には「その他」として分類されていましたが、2013年から個別に集計されるようになりました。その後年々増加し、現在では食中毒の原因物質のトップとなっています。
サバ、カツオ、マグロなどを生食する際には特に注意が必要です。生きたアニサキスを食べてしまうと激しい胃痛を起こす恐れがあります。しかし、加熱調理や24時間冷凍処理によってアニサキスを死滅させることができるため、「サバのみそ煮」など加熱した商品であれば安全です。
コンビニにおけるHACCPとは
コンビニにおけるHACCPは、店内の調理行為を行う商品を対象としています。
例としては①唐揚げ、コロッケなどのフライヤーで揚げるもの、②中華まん、おでんなどの加熱するもの、③コーヒーなどのドリンク類です。
原材料の仕入れから完成品へと調理する完全な調理行為は、コンビニの飲食店営業施設基準のHACCPには該当しません。コンビニにおけるHACCPは、本社や本部が衛生管理計画書を作成し、店舗が衛生管理を実施します。
HACCPをもとにした衛生管理が適用される範囲
コンビニにおけるHACCPは、グループ分けすることができます。第1グループは揚げる商品、第2グループが温める商品、第3グループはドリンク類です。グループは、危険温度帯の通過と重要管理点で分類できます。
HACCPシステムの「危害要因分析・重要管理点(CCP)」とは?
ストア内で簡易な調理を行う商品
コンビニの簡易な調理品について具体的に考えてみましょう。
第1グループの揚げる商品には、唐揚げ、コロッケなどがあります。第2グループの温める商品は、中華まん、おでんなどです。第3グループのドリンク類は、コーヒーやカフェオレなどのカップ飲料です。グループごとの調理行為などの特性について詳しく見てきましょう。
揚げる商品
第1グループの仕入原料は、HACCPの要件をみたした専用工場で適切な衛生管理をされた完成品や半完成品を受け入れます。店舗で受け入れるときは、コンビニ本社の規格をみたし、衛生的にも品質的にも優良な仕入原料が届きます。
弁当及びそうざいの衛生規範に沿い、一般生菌数、大腸菌、黄色ブドウ球菌などの基準を満たしています。フライヤーで180℃・5分の加工を行い、65℃のホットケース内で保管します。ホットケース内で限界保管時間は6時間です。
温める商品
第2グループの仕入原料は、コンビニ本部や本社の管理が行き届いたサプライヤーから完成品や半完成品が届きます。第1グループと同様に、弁当及びそうざいの衛生規範に従い、一般生菌数、大腸菌、黄色ブドウ球菌などの微生物検査の基準を満たしています。 おでんの什器で75℃・30分以上の加熱し、販売条件は75℃以上の保管で8時間以内に販売します。
ドリンク類
コンビニ本部や本社が管理したサプライヤーから焙煎後の豆、乳製品、氷が届きます。コーヒーサーバーを用いて、90℃以上で抽出します。混合品として使う乳製品は10℃以下で保管します。
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一般的衛生管理のポイント
コンビニにおけるHACCPは、難しいものではありません。しかし、HACCPの前提となる一般衛生管理を適切に実施することが必要です。ここでは、コンビニのHACCPで大切になる一般衛生管理の項目について考えていきます。
食品取扱者の衛生管理
HACCPの重要管理点を守っても、食品取扱者の衛生管理が不十分であれば、食品事故が起こってしまいます。例えば、調理従事者からウィルスが食品に混入する可能性があります。特にノロウィルスはHACCPでは予防することはできません。従業員の健康管理や衛生管理を徹底することが大切です。
こうした食品取扱者の衛生管理の項目は、健康状態、身だしなみ、手指の状態、手洗いなどです。食品取扱者の衛生教育を適切に行い、食品事故を予防しましょう。
販売機器の管理
HACCPの重要管理点を守る際、販売機器の管理は欠かせません。販売機器に微生物が付着していれば、加工後の商品がすべて微生物に汚染されてしまいます。そのため、販売機器の洗浄や殺菌をこまめに実施しましょう。
また、販売機器の管理基準に狂いがあれば、重要管理点でのチェックをすり抜けた商品を提供してしまう可能性が出てきます。定期的な販売機器の校正やメーカーのメンテナンスは、食品事故の予防の観点から重要です。
表示・設置場所の管理
商品の微生物汚染は、原材料由来、人由来、環境由来が考えられます。このうち、環境由来の微生物汚染は、一般衛生管理を適切に行う以外の予防ができません。
そのため、機器の設置場所の衛生状況を整え、清潔な環境を保ちましょう。また、食品表示が必要な商品は食品表示法に従って表示を行いましょう。
排水・廃棄物の処理
排水や廃棄物の処理も大切です。排水や廃棄物の管理を怠ると、虫やネズミの発生源になってしまいます。日々の清掃をしっかり行い、廃棄物容器の悪臭や汚液の管理をすることが大切です。また、廃棄物の管理場所付近に虫やネズミが発生したら、その都度駆除しましょう。
実際の店舗で実施している衛生管理
コンビニ各店で実際に行っている「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」について見ていきます。
セブンイレブン
セブンイレブンの各店舗では、従業員の手洗い、調理器具の除菌、1日2回の冷蔵・冷凍庫の温度管理、期限切れ商品の撤去、鮮度の維持、フライヤーの油の酸価値の測定、トイレの清掃、従業員の衛生教育などの取り組みをしています。
品質管理の基盤を整備し、重大事故が起こったときのための商品回収や販売継続のガイドラインを定めています。また、食品安全のためにグループの食品工場にJFS(食品安全マネジメント)規格の認証取得を進めています。その他、ISO9001、ISO22000認証、GAP認証などの取得も実施しています。
ファミリーマート
ファミリーマートはサプライチェーンの安全・安心を進めるとともに、社会・環境配慮に取り組んでいます。原材料管理はサステナビリティ調達を原則とし、製造・品質管理は製造拠点の品質・衛生管理を徹底。
昼食製造拠点はJFS-B規格以上の認証を取得し、HACCPに基づく衛生管理を実施しているのが特徴です。物流の温度管理も徹底しており、低温・チルド、常温、冷凍の3温度帯別の保管や配送を実施しています。
店舗ではストアスタッフの衛生教育を徹底し、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理を実施しています。調理はマニュアルを守り、記録付けを実施。また、食品表示も徹底し、法務や品質管理による2次確認をしています。
ローソン
ローソンは食の安全・安心のために、原材料管理、生産管理、製造委託工場の指導、店舗の衛生管理まで、品質管理を徹底しています。オリジナル商品の製造工場では、HACCPを実施し、食中毒や異物混入などの食品事故を予防。製造工程の重要管理点は全て記録を残し、問題が発生したときは是正措置とともに原因究明できる体制を整備しています。
オリジナル商品の提供は、原材料の採用、商品設計、商品製造、店舗での温度チェック、入荷許容日及び販売許容日の設定も徹底しています。また、食の安全・安心の研修も、本部社員、加盟店、取引先ごとに徹底しています。
購入後の食中毒対応:消費者が気をつけるポイント
コンビニが厳格な衛生管理を実施していても、購入後の消費者の対応が不適切であれば、食中毒は発生してしまいます。実は、食中毒事故は家庭でも発生しており、これを防ぐ「最後の砦」は消費者自身なのです。
消費期限と賞味期限の厳密な区別
コンビニ弁当やお惣菜には必ず「消費期限」が記載されています。これらの意味を正しく理解することが非常に重要です。
「消費期限」とは、劣化の早い食品について、未開封かつ保存が指定通りの場合に限り、食べても「安全」という目安です。つまり、消費期限を過ぎた食品を食べることは、食中毒のリスクに直面することを意味します。
一方、「賞味期限」は、味が落ちるまでの期限であり、過ぎても直ちに食中毒の心配はありません。ただし、開封後は別です。開封した時点で微生物の増殖が始まるため、賞味期限内であっても早めに食べることが推奨されます。
「消費期限」を過ぎた食品は食べないようにしましょう。食品ロス対策も重要ですが、食中毒による健康被害と比較すれば、消費期限を守ることが優先されるべきです。
購入後の保存方法
コンビニで購入した弁当や惣菜は、購入直後の保存方法が重要です。
加熱商品(揚げ物、温かいお弁当など)は、購入後できるだけ早く消費することが大切です。冷めてきたら冷蔵庫に入れ、菌の増殖を抑えるようにしてください。特に調理済み食品は冷蔵・冷凍などの保存方法を守ることが重要です。
テイクアウトや自分で調理した食品も同様に、早めに食べることを心がけましょう。
自宅での調理済み食品の扱い
コンビニ商品に限った話ではありませんが、自宅で調理した食品についても同じ原則が適用されます。
生肉と魚介類には特に注意が必要です。サバやカツオなどを生食する場合は、アニサキスの幼虫を目視で確認してください。生きたアニサキスを食べると激しい胃痛を起こす恐れがあります。
また、鶏肉を調理する際は、調理後のまな板やシンク、手指を十分に洗浄し、他の食材への交差汚染を防ぎましょう。
記録や管理をできるだけ楽にしたいなら
HACCPには多くの記録が必要です。重要管理点だけでなく、一般衛生管理の項目も記録しなくてはいけないため、紙の記録付けでは手間がかかり、スタッフの負担が増えます。また、管理記録が膨大になるため、書類の保管場所を用意する必要があります。
HACCPに関する文書と記録の管理を容易にしたいならば、HACCPシステムの導入も一つの手です。HACCPシステムを導入すれば、正確な衛生管理が容易になり、従業員の負担を減らすことにつながります。
導入を考えている方は製品の特徴を確認し、自社に合ったシステムをチェックしてみてください。
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ページ監修:力丸修也
行政書士、JHTC認定HACCPリードインストラクターとJFS監査員研修修了。
HACCPコンサルタントとしては、レトルト食品会社、そうざい業、冷凍食品業者等の実績あり。
おすすめのHACCPシステム3選
Googleで「HACCP システム」「HACCPシステム ツール」と検索してそれぞれ10ページ目までを調査(2023年10月10日時点)。 HACCPシステムの公式サイトが表示された20製品(スマホアプリを除く)の中で、HACCP導入に必須となる「衛生管理計画書作成機能」と、記録の抜け漏れや問題があった時に管理者にお知らせが届く「アラート通知機能」がどちらも搭載されているHACCPシステムを3つご紹介します。
(ライオンハイジーン)

- 衛生管理のプロのノウハウが凝縮
- 約60項目が網羅された衛生管理計画書が標準搭載
- 衛生管理のコンサルも可能
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- 手順書(マニュアル)
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企業におすすめ
(KAMINASHI)

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(UPR)

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