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コンビニが考えるべきHACCPとは

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おでんやコーヒーなどのコンビニの簡易な調理品にも「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を取り入れる必要があります。コンビニにおけるHACCPは簡易な調理品を対象としたもので、難しいことではありません。ここでは、コンビニにおけるHACCPについて詳しく解説しています。

コンビニにおけるHACCPとは

コンビニにおけるHACCPは、店内の調理行為を行う商品を対象としています。

例としては①唐揚げ、コロッケなどのフライヤーで揚げるもの、②中華まん、おでんなどの加熱するもの、③コーヒーなどのドリンク類です。

原材料の仕入れから完成品へと調理する完全な調理行為は、コンビニの飲食店営業施設基準のHACCPには該当しません。コンビニにおけるHACCPは、本社や本部が衛生管理計画書を作成し、店舗が衛生管理を実施します。

HACCPをもとにした衛生管理が適用される範囲

コンビニにおけるHACCPは、グループ分けすることができます。第1グループは揚げる商品、第2グループが温める商品、第3グループはドリンク類です。グループは、危険温度帯の通過と重要管理点で分類できます。

ストア内で簡易な調理を行う商品

コンビニの簡易な調理品について具体的に考えてみましょう。

第1グループの揚げる商品には、唐揚げ、コロッケなどがあります。第2グループの温める商品は、中華まん、おでんなどです。第3グループのドリンク類は、コーヒーやカフェオレなどのカップ飲料です。グループごとの調理行為などの特性について詳しく見てきましょう。

揚げる商品

第1グループの仕入原料は、HACCPの要件をみたした専用工場で適切な衛生管理をされた完成品や半完成品を受け入れます。店舗で受け入れるときは、コンビニ本社の規格をみたし、衛生的にも品質的にも優良な仕入原料が届きます。

弁当及びそうざいの衛生規範に沿い、一般生菌数、大腸菌、黄色ブドウ球菌などの基準を満たしています。フライヤーで180℃・5分の加工を行い、65℃のホットケース内で保管します。ホットケース内で限界保管時間は6時間です。

温める商品

第2グループの仕入原料は、コンビニ本部や本社の管理が行き届いたサプライヤーから完成品や半完成品が届きます。第1グループと同様に、弁当及びそうざいの衛生規範に従い、一般生菌数、大腸菌、黄色ブドウ球菌などの微生物検査の基準を満たしています。 おでんの什器で75℃・30分以上の加熱し、販売条件は75℃以上の保管で8時間以内に販売します。

ドリンク類

コンビニ本部や本社が管理したサプライヤーから焙煎後の豆、乳製品、氷が届きます。コーヒーサーバーを用いて、90℃以上で抽出します。混合品として使う乳製品は10℃以下で保管します。

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一般的衛生管理のポイント

コンビニにおけるHACCPは、難しいものではありません。しかし、HACCPの前提となる一般衛生管理を適切に実施することが必要です。ここでは、コンビニのHACCPで大切になる一般衛生管理の項目について考えていきます。

食品取扱者の衛生管理

HACCPの重要管理点を守っても、食品取扱者の衛生管理が不十分であれば、食品事故が起こってしまいます。例えば、調理従事者からウィルスが食品に混入する可能性があります。特にノロウィルスはHACCPでは予防することはできません。従業員の健康管理や衛生管理を徹底することが大切です。

こうした食品取扱者の衛生管理の項目は、健康状態、身だしなみ、手指の状態、手洗いなどです。食品取扱者の衛生教育を適切に行い、食品事故を予防しましょう。

販売機器の管理

HACCPの重要管理点を守る際、販売機器の管理は欠かせません。販売機器に微生物が付着していれば、加工後の商品がすべて微生物に汚染されてしまいます。そのため、販売機器の洗浄や殺菌をこまめに実施しましょう。

また、販売機器の管理基準に狂いがあれば、重要管理点でのチェックをすり抜けた商品を提供してしまう可能性が出てきます。定期的な販売機器の校正やメーカーのメンテナンスは、食品事故の予防の観点から重要です。

表示・設置場所の管理

商品の微生物汚染は、原材料由来、人由来、環境由来が考えられます。このうち、環境由来の微生物汚染は、一般衛生管理を適切に行う以外の予防ができません。

そのため、機器の設置場所の衛生状況を整え、清潔な環境を保ちましょう。また、食品表示が必要な商品は食品表示法に従って表示を行いましょう。

排水・廃棄物の処理

排水や廃棄物の処理も大切です。排水や廃棄物の管理を怠ると、虫やネズミの発生源になってしまいます。日々の清掃をしっかり行い、廃棄物容器の悪臭や汚液の管理をすることが大切です。また、廃棄物の管理場所付近に虫やネズミが発生したら、その都度駆除しましょう。

実際の店舗で実施している衛生管理

コンビニ各店で実際に行っている「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」について見ていきます。

セブンイレブン

セブンイレブンの各店舗では、従業員の手洗い、調理器具の除菌、1日2回の冷蔵・冷凍庫の温度管理、期限切れ商品の撤去、鮮度の維持、フライヤーの油の酸価値の測定、トイレの清掃、従業員の衛生教育などの取り組みをしています。

品質管理の基盤を整備し、重大事故が起こったときのための商品回収や販売継続のガイドラインを定めています。また、食品安全のためにグループの食品工場にJFS(食品安全マネジメント)規格の認証取得を進めています。その他、ISO9001、ISO22000認証、GAP認証などの取得も実施しています。

ファミリーマート

ファミリーマートはサプライチェーンの安全・安心を進めるとともに、社会・環境配慮に取り組んでいます。原材料管理はサステナビリティ調達を原則とし、製造・品質管理は製造拠点の品質・衛生管理を徹底。

昼食製造拠点はJFS-B規格以上の認証を取得し、HACCPに基づく衛生管理を実施しているのが特徴です。物流の温度管理も徹底しており、低温・チルド、常温、冷凍の3温度帯別の保管や配送を実施しています。

店舗ではストアスタッフの衛生教育を徹底し、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理を実施しています。調理はマニュアルを守り、記録付けを実施。また、食品表示も徹底し、法務や品質管理による2次確認をしています。

ローソン

ローソンは食の安全・安心のために、原材料管理、生産管理、製造委託工場の指導、店舗の衛生管理まで、品質管理を徹底しています。オリジナル商品の製造工場では、HACCPを実施し、食中毒や異物混入などの食品事故を予防。製造工程の重要管理点は全て記録を残し、問題が発生したときは是正措置とともに原因究明できる体制を整備しています。

オリジナル商品の提供は、原材料の採用、商品設計、商品製造、店舗での温度チェック、入荷許容日及び販売許容日の設定も徹底しています。また、食の安全・安心の研修も、本部社員、加盟店、取引先ごとに徹底しています。

記録や管理をできるだけ楽にしたいなら

HACCPには多くの記録が必要です。重要管理点だけでなく、一般衛生管理の項目も記録しなくてはいけないため、紙の記録付けでは手間がかかり、スタッフの負担が増えます。また、管理記録が膨大になるため、書類の保管場所を用意する必要があります。

HACCPに関する文書と記録の管理を容易にしたいならば、HACCPシステムの導入も一つの手です。HACCPシステムを導入すれば、正確な衛生管理が容易になり、従業員の負担を減らすことにつながります。

導入を考えている方は製品の特徴を確認し、自社に合ったシステムをチェックしてみてください。

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ページ監修:力丸修也
行政書士、JHTC認定HACCPリードインストラクターとJFS監査員研修修了。
HACCPコンサルタントとしては、レトルト食品会社、そうざい業、冷凍食品業者等の実績あり。

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