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小規模飲食店が考えるべきHACCPとは

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小規模飲食店で行うHACCPの考え方を取り入れた衛生管理ではどのようなことをするのでしょうか?ここでは小規模飲食店で導入するHACCPについて確認していきましょう。

一般的衛生管理のポイント

小規模飲食店ではHACCPの弾力的運用といい、シンプルにしたHACCPの導入になります。そのために、衛生管理計画では今までの一般衛生管理を文書化し記録して管理していきます。

原材料の受入れ

原材料の受入れ時に、原材料に問題がないかを確認します。そもそもの原材料に問題があれば、それ以降の製品で食品安全上の問題が生じてしまいます。そのために、原材料の受入れ基準を各々の店舗で決め、それに従い確認して受入れを行います。

また、原材料に問題があった場合、どのような対処を行うかも決めておくことが大切になります。

冷蔵・冷凍庫の温度の確認

冷蔵庫・冷凍庫の保管温度を確認します。問題のない原材料でも冷蔵庫・冷凍庫の温度が基準を満たさなければ、原材料由来の微生物が増殖してしまいます。

これを防ぐために、冷蔵庫・冷凍庫の保管温度を確認することが必要になります。そして、保管温度に問題があった場合の対処法を決めていきます。

交差汚染・二次汚染の防止(器具等の洗浄・消毒・殺菌、トイレの洗浄・消毒)

原材料を冷蔵庫・冷凍庫で保管するときに、肉・魚等と野菜等を分けて保管することが大切になります。なぜなら、肉や魚に付着した微生物が野菜等に接触し、サラダなどにして提供する場合、そのまま微生物に汚染された料理を提供することになるからです。

また、肉・魚等を下処理した器具でそのまま野菜等を処理したときも同様のことが起こってしまいます。これを防ぐために、器具の洗浄・殺菌を適切に行いましょう。このようなことを交差汚染・二次汚染の防止と言います。交差汚染・二次汚染はアレルゲンについても同様の対処が必要になります。店舗で使用する原材料に含まれるアレルゲンについても把握しておきましょう。

従業員の健康管理・衛生的作業着の着用など(手洗いを含む)

生物的危害要因である微生物は、原材料や環境由来のものだけでなく、人からももたらされます。そのために、店舗の従業員は手洗い等の衛生管理を徹底し、病気の時は店舗の調理等に携わらないようにしましょう。

とくに注意が必要になるのが、ノロウイルスによる食中毒です。これは従業員の衛生管理を徹底することでしか防ぐことができないものとなります。

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重要管理のポイント

小規模飲食店の重要管理のポイントは、主に微生物由来の食品事故を防ぐことが目的になります。

メニュー分類

店舗で提供するメニューの品目を、製造プロセスで危険温度帯(10℃から60℃)を何度通過するかにより分類します。危険温度帯は微生物の増殖が特に顕著な温度ゾーンのことです。この危険温度帯に料理をできる限り置かないことが重要になります。分類するグループは、非加熱の品目(サラダ等)、加熱後すぐに提供する品目(ハンバーグ等)、加熱後冷却し再加熱して提供する品目(シチュー等)などになります。

メニューを分類するのは、飲食店では品目の種類が多く、1つ1つに製品説明書を作成し、危害要因を調べることが大変になるからです。

重要管理ポイントのチェック方法の決定

メニューを分類したら、グループ毎に重要管理項目を決めていきます。非加熱の製品は基本的に存在しません。加熱後すぐに提供する製品は、加熱の温度と時間になります。加熱後冷却し再加熱後提供する製品は、加熱・再加熱温度になります。

急速冷却をできる限り行う必要があり、大量に急速冷却するならば、急速冷却器を使用することがよいでしょう。このように、グループ分けを行うために、HACCPの重要管理ポイントといっても、小規模飲食店では、それほど手間のかかるものにはなりません。

その他の項目

たとえば、包丁で肉や魚をカットするときに、刃こぼれをして、それが料理に混入することが考えられます。このようなことを防ぐために、使用前と使用後に包丁の刃こぼれを目視で確認することもできる限り行うとよいでしょう。

使用する薬剤の種類の管理も洗浄・殺菌をするときにきちんと把握しておくことが大切になります。各々の事業所の衛生管理のポイントは異なるために、いろいろな資料を参考にするとよいでしょう。

小規模飲食店手引書のポイント(2024年1月に改訂)

2024年1月に改訂された小規模飲食店向けのHACCP手引書は、現場での実施をより容易にし、効果的な衛生管理をサポートするためにいくつかの重要な変更が加えられました。

簡易化された手順

小規模飲食店がHACCPを導入しやすいように手順が大幅に簡素化されました。
これにより、複雑な書類作成や専門的な知識が必要だった部分が減少し、現場のスタッフが日常業務の中で自然にHACCPを取り入れやすくなりました。

具体的な事例紹介

改訂版では、具体的な事例や成功事例が豊富に紹介されています。実際にどのようにHACCPを運用すればよいかが明確になり、店舗ごとのカスタマイズがしやすくなっています。
例えば、調理プロセスごとの衛生管理ポイントや具体的な監視方法が詳細に記載されています。

トレーニングとサポートの充実

HACCPの基本概念や実施方法についてのトレーニングプログラムが強化されました。特に、小規模事業者向けにはオンラインリソースやサポートが充実しており、いつでもどこでも学習や相談ができる環境が整っています。
これにより、導入後のフォローアップも含めた継続的なサポートが提供されます。

リスク管理の強化

食品の安全性を確保するためのリスク管理が強化されています。
具体的には、各プロセスにおけるリスクアセスメントの方法や、リスクに対する適切な対応策が明示されており、食品事故の防止や消費者の信頼確保が期待できます。

記録と検証の簡略化

小規模飲食店が負担なくHACCPを実施できるように、記録と検証の手順が簡略化されています。必要最低限の記録で済むようにしつつ、必要な情報は漏れなく収集できるフォーマットが提供されています。
現場の負担を軽減しながらも、確実な衛生管理が可能となります。

法令遵守の強化

最新の法令に準拠した内容が反映されていおり、小規模飲食店が法的要求を満たしつつHACCPを導入できるようになっています。
具体的な法令遵守の方法や、違反時の対応策についても詳細に記載されています。

実施後のフォローアップ

HACCPを導入した後のフォローアップ体制が強化されています。例えば、定期的な内部監査や外部監査の方法、改善提案の実施方法などが具体的に示されています。
そのため、継続的な改善が促進され、長期的に安全な食品提供が可能となります。

まとめ

2024年1月に改訂された小規模飲食店向けHACCP手引書は、実際の運用を重視した内容となっており、現場での実施をサポートするための具体的なガイドラインが提供されています。
この手引書を活用することで、小規模飲食店でも効果的なHACCPの導入と運用が可能となり、消費者に対して安全で安心な食品提供が実現できるでしょう。

記録や管理をできるだけ楽にしたいなら

このような重要管理の項目と一般衛生管理の項目は、店舗で確認したならば、記録を残しておくことが求められます。HACCPに関する記録は、証拠と同じものになるからです。また、このHACCPに関する記録は、営業許可更新時に保健所の調査が入ります。

記録を残すことは大変な作業になるため、おすすめはクラウド型のHACCPシステムを活用すること。衛生管理計画書自体が標準装備されているシステムもあるので、導入はもちろん、導入後の管理に関わる作業が容易になるでしょう。

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ページ監修:力丸修也
行政書士、JHTC認定HACCPリードインストラクターとJFS監査員研修修了。
HACCPコンサルタントとしては、レトルト食品会社、そうざい業、冷凍食品業者等の実績あり。

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