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アイスクリーム屋で考えるべきHACCPとは
アイスクリーム屋は、食中毒が発生しやすい分野の1つ。安全で美味しい商品を提供するためには、殺菌と冷却におけるルールを徹底することが重要です。ここでは、アイスクリーム屋のHACCPについて分かりやすく解説しています。
アイスクリーム屋におけるHACCPとは
殺菌と冷却のルール
アイスクリーム類や氷菓の製造において、68℃30分間かつ同等以上の加熱殺菌に合致する殺菌が必要です。
アイスクリームを製造する際に使用する加熱殺菌式フリーザーは、加熱殺菌機能を使って毎日、殺菌を実施します。これは、フリーザー内の殺菌を行うために必要な作業です。
殺菌条件は、メーカー設定によって異なりますが、68℃30分間を上回る条件となっており、殺菌後に急速冷却し、保冷運転(10℃以下)が行われます。フリーザーを正しく取扱い、「ソフトクリームフリーザー衛生管理点検表」などを活用し、確認・記録することも重要です。
正常かどうかの確認は、ソフトクリームの品質やフリーザーの表示、ランプ点灯をチェックします。異常があったときは、メンテナンス業者へ連絡して確認しましょう。
冷凍温度の厳密な管理
アイスクリームやソフトクリームは、-5度以下に冷凍されたのちに製品として販売されます。温度管理を適切に実施していれば、病原微生物が増殖するリスクは非常に低いです。
そのため、フリーザーが正常に作動し、温度管理がしっかりと行われていることが重要です。商品の品質を維持するため、ディスプレイ表示やランプでも確認することが大切です。
製造工程全体での二次汚染防止
製造を行っている際に、二次汚染を防止できるよう努める必要があります。具体的には、以下の点に留意していくことが重要です。
- 冷蔵庫内・冷凍庫内・常温品の保管場所を守る
- 製造に使う器具は使い道により変える
- 原料パックを開封する際には、ハサミや切り口へアルコールをふきつける
- フリーザー製品出口は、手が触れないようにする
- フリーザーの原料供給機は、洗浄と消毒を行った清潔な手で実施する
- フリーザーのタンクカバーを開きっぱなしの状態にしない
アイスクリーム屋での食中毒リスク
アイスクリーム屋では、適切な管理を怠ることにより食中毒が発生すると、高齢者や免疫力が低下している人などは、重症化しやすいリスクがあるため、十分に注意しなければなりません。ここでは、過去の食中毒事例について解説します。
富山市内にある氷菓子店における食中毒が発生した事例
富山市内にある氷菓子店にて、7月15日に自家製造・販売したアイスクリームを摂食した39名のうち、発熱・頭痛・腹痛・下痢を主症状とする食中毒患者が23名発生しました。夏かぜによる下痢などという診断を受けていた方がいたということです。
飲食店で提供されているソフトクリームについて細菌学的調査を行った事例
ある飲食店で提供されているソフトクリームについて細菌学的調査を実施しました。一般細菌数はいずれも基準値内であったが、大腸菌群は 26検体中5件で陽性であり、黄色ブドウ球菌は増菌培養で1件が陽性といった結果でした。原料もしくは製造工程で汚染が生じていることが判明し、原料の殺菌や製造工程での衛生・温度管理が重要であることが再認識された事例です。
小学校で販売されていたアイスクリームで食中毒が発生した事例
西彼杵郡西彼町立AとB小学校の運動会当日夜から児童とその家族が発熱、下痢等の症状が見られ、近在の医療機関を受診したところ、食中毒だと診断されました。長崎県西彼保健所の調査により、両小学校すべての方に共通する食品が校門付近で販売されていたアイスクリームであることがわかりました。
同保健所で有症者90名の検便を実施した結果、10名の児童からサルモネラ菌が検出されました。
アイスクリーム屋が行っている衛生管理
ここでは、アイスクリーム屋が実際に行っている衛生管理について、ご紹介します。
ハーゲンダッツ ジャパン
ハーゲンダッツ群馬工場では、1998年に「総合衛生管理製造過程による食品の製造または加工」(厚生労働省HACCPプログラム)、2013年5月には国際的な食品安全マネジメントシステムであるFSSC22000を取得しました。
このFSSC22000に則った管理を徹底し、原料調達から、生産、物流までのすべての工程において、食品安全の体制を確立しています。
サーティーワン
サーティーワンの工場では、安全かつ新鮮な商品を提供するためFSSC22000やHACCPの基準を遵守し、衛生管理(検温・うがい・手洗い・マスク着用他)を徹底しています。
記録や管理をできるだけ楽にしたいなら
アイスクリーム屋の食中毒を考える際、記録は証拠としての意味を持つため、記録付けと保管は非常に重要です。
しかし、アイスクリーム屋のHACCPは衛生管理の項目がさまざまあり、記録付けを手作業で実施すると手間取るだけではなく、ミスにもなりかねません。HACCPシステムを導入すると、スタッフの手間と時間を省くことにつながります。
衛生管理計画書が標準搭載の
おすすめHACCPシステムをチェック
おすすめのHACCPシステム3選
Googleで「HACCP システム」「HACCPシステム ツール」と検索してそれぞれ10ページ目までを調査(2023年10月10日時点)。 HACCPシステムの公式サイトが表示された20製品(スマホアプリを除く)の中で、HACCP導入に必須となる「衛生管理計画書作成機能」と、記録の抜け漏れや問題があった時に管理者にお知らせが届く「アラート通知機能」がどちらも搭載されているHACCPシステムを3つご紹介します。
(ライオンハイジーン)

- 衛生管理のプロのノウハウが凝縮
- 約60項目が網羅された衛生管理計画書が標準搭載
- 衛生管理のコンサルも可能
- 衛生管理計画書
- 手順書(マニュアル)
- ダッシュボード
- カスタマイズ
- PDF(帳票)出力
- アラート機能
- ほか
企業におすすめ
(KAMINASHI)

- 点検時の状況を撮影し事故防止
- 音声にも対応するメモ機能
- 外国人労働者向けの多言語化対応
- 衛生管理計画書
- ダッシュボード
- 条件分岐ルール作成
- 音声メモ
- 多言語化機能
- アラート機能
- ほか
(UPR)

- IoT温度管理で自動的に記録
- 開店前・営業中・閉店後のチェックリスト作成可
- 異常時はアラート機能で通知
- 衛生管理計画書
- カスタマイズ
- 帳票出力
- IoT温度管理
- 健康管理
- アラート機能
- ほか

