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多店舗展開チェーン店が考えるべきHACCPとは
多店舗展開チェーンで行うHACCPではどのようなことが必要になるのでしょうか?ここでは、多店舗展開チェーンのHACCPの特徴について確認していきましょう。
多店舗展開チェーンが理解しておくべきこと
経営者の責任
多店舗展開チェーンでは、HACCPを実施する責任者を明確にしておくことが大切になります。本部では製品説明書や製造工程を把握して、衛生管理計画書を作成。各々の店舗ではそれを現場で実施し記録していきます。そして、各々の店舗の食品安全責任者から本部に報告するという流れです。
経営者に求められるのは、HACCPを実施する体制の整備です。HACCPを導入し運用するにあたり、必要になる人材、設備や機器、資金などを適切に提供することが必要になります。この食品安全HACCPにかかわる経費を適切にかけることも経営者の責任です。もちろん、食品衛生法の遵守や営業許可に関する手続きを適切に行うことも経営者の責任になります。
衛生管理計画の整備
衛生管理計画の作成は、本部でメニューを管理している場合、本部で作成することが多いと思います。メニューの品目ごとに原材料や製造工程を把握し、重要管理の項目を決めます。そして、その管理方法等を衛生管理計画に盛り込んでいきます。
ここで大切になるのは、本部の衛生管理計画と各々の店舗の現場にずれがないことです。各々の店舗で原材料の独自に使用する場合や製造工程が現場で一致していない場合等が考えられます。齟齬が生まれないようにするために、衛生管理計画は各々の店舗で確認して文書化することが非常に重要。そして、衛生管理計画に基づき各々の店舗で衛生管理を実施し記録を取ります。本部はその実施状況を自社監査で確認することでHACCPの運用は可能になるでしょう。
管理すべき食品安全ハザード
HACCPで管理する食品安全に関するハザード(危害要因)には、生物的、化学的、物理的要因があります。生物的危害要因というのは、食中毒のもとになる微生物・ウィルスを思い浮かべればいいと思います。ほとんどの生物的危害要因は加熱殺菌で対応できますが、加熱殺菌で殺菌できない場合、それ以上増やさないように温度管理することで対応します。
化学的危害要因は、アレルゲン等を思い浮かべるとよいでしょう。アレルゲンは主に表示で対応します。アレルゲンの交差汚染の場合は、HACCPでは管理できず、アレルゲンクリーニングをその都度行います。
物理的危害要因は、金属片や硬質異物の混入を思い浮かべればいいと思います。検知器がない場合、目視による原材料の確認で対応していきます。このようなハザード(危害要因)は製品ごとに異なります。自社が提供する製品の危害要因分析を実施し、食品事故の可能性を検討することは重要なことになります。
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理では、危害要因分析まで求められていませんが、食品を製造する上ではこの危害要因の把握をしておきましょう。
メニューの分類
メニューの分類は品目ごとに行います。品目ごとに危険温度帯(10℃から60℃)を調理の工程で何度通過するかにより分類します。たとえば、非加熱のサラダ、加熱後すぐに提供するハンバーグ、加熱後冷却し再加熱で提供するシチューなどを考えてください。それぞれ、危険温度帯を、サラダは0回、ハンバーグは1回、シチューは2回以上通過することがわかるでしょう。この危険温度帯を何度通るかで微生物的危害要因の管理方法が異なるのです。
危険温度帯による品目ごとの分類で同じ分類の製品は、重要管理の項目も同じになるので、多品目あるメニューを分類しグループ化していくことで、自店が提供する製品の重要管理項目を容易に決めることができます。このように、メニューの種類が豊富な場合でもHACCPを導入することは十分に可能になります。
記録の重要性
HACCPでは、衛生管理計画を実施しそれを記録することが求められます。HACCPにおける記録は、証拠としての意味を持ちます。このHACCPの記録は、営業許可更新時に保健所の実地調査で確認されます。このとき、記録が残っていなかったら、保健所の指導を受けてしまうでしょう。
まだ罰則がないからといって、HACCPを実施し記録を残さないことは、のちのち大きなペナルティを受けることにもなりかねません。HACCPの記録の受容性を認識し、衛生管理計画に伴う記録付けの習慣を早めにつけたいものです。
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重要管理のポイント
HACCPの導入で、製造・調理工程の中で健康被害が考えられる工程に対して重要管理点を定めます。重要管理点は科学的に管理できることが必要であるため、ノロウィルスなどの予防には設定されません。ノロウィルス対策は、手洗いなどの一般衛生管理で行います。また、重要管理点を設定するときは管理の実施記録を取ることも必要です。
食品に合った管理方法の検討
多店舗展開する飲食店や惣菜業者の場合は、それぞれの店舗で同じ管理方法を取る場合と店舗ごとに管理方法を決める場合があるでしょう。そのとき、ハンバーグ、サラダ、パスタなど、商品の種類ごとに重要管理点を設定します。
素材を製造・調理する施設・設備も、衛生的であることが求められます。施設・設備の整理、整頓、清掃、洗浄を実施しましょう。保健所の営業許可の要件をみたしていれば、施設・設備の衛生基準は十分です。
また、施設・設備だけでなく、従業員の健康・衛生管理も徹底します。特に、ノロウィルス対策は、この従業員の健康・衛生管理が大切です。HACCPの前提となる一般衛生管理は、設備や環境を整えるだけでなく、従業員の健康管理も含めて行いましょう。
記録や管理をできるだけ楽にしたいなら
HACCPを運用していくとき、衛生管理計画に基づく記録が必要になります。記録を付けることは他の作業を多くこなす店舗スタッフにとって、負担とならないとはいえません。
この衛生管理計画を実施した記録を一括管理できるシステムも開発されています。衛生管理計画書と記録作成が標準装備されており、クラウド型のHACCPシステムを活用してみるのもよいでしょう。
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ページ監修:力丸修也
行政書士、JHTC認定HACCPリードインストラクターとJFS監査員研修修了。
HACCPコンサルタントとしては、レトルト食品会社、そうざい業、冷凍食品業者等の実績あり。
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Googleで「HACCP システム」「HACCPシステム ツール」と検索してそれぞれ10ページ目までを調査(2023年10月10日時点)。 HACCPシステムの公式サイトが表示された20製品(スマホアプリを除く)の中で、HACCP導入に必須となる「衛生管理計画書作成機能」と、記録の抜け漏れや問題があった時に管理者にお知らせが届く「アラート通知機能」がどちらも搭載されているHACCPシステムを3つご紹介します。
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