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イベント・催事で考えるべきHACCPとは
イベント・催事で飲食物を提供・販売するときには食品衛生法の営業許可・届出が必要です。そして、飲食物の製造・調理工程に合わせた「HACCPに沿った衛生管理」を実施します。
ここでは、イベント・催事で必要になる食品衛生法の営業許可・届出とHACCPに沿った衛生管理について解説しています。
食中毒による3つの責任【民事・刑事・道義】
イベントで食中毒が発生した場合、問題は健康被害だけに留まりません。主催者や調理担当者には、法的な責任が追及される可能性があります。ここでは、問われる可能性のある3つの責任について、それぞれ詳しく解説します。
金銭的な損害賠償が求められる「民事責任」(主催者・学校が負う)
民事責任とは、食中毒の被害に遭われた方に対して、その損害を金銭で補う責任のことです。イベントやお祭り、学園祭のような学校行事の場合、主催者である学校や実行委員会は、参加者の安全に配慮する義務を法律上負っています。
もし食中毒が発生すれば、被害者から治療費や入院費、さらには慰謝料といった金銭的な賠償を求められる可能性があります。特に集団食中毒の場合、複数の被害者がいることで、賠償額が高額になるケースも少なくありません。これは学生個人だけでなく、学校全体の財務に大きな影響を与える可能性があるため、主催者としては非常に重大な責任です。
罰則や懲役の対象となる可能性もある「刑事責任」(調理担当者が負う)
刑事責任とは、社会のルールを破ったことに対する罰で、懲役や罰金などが科される責任のことです。食中毒事件では、直接調理を担当した学生や、監督責任のある教職員が「業務上過失致死傷罪」に問われるケースもゼロではありません。
特に、衛生管理を著しく怠っていたと判断された場合や、複数の人命が失われた場合には、その可能性はさらに高まります。刑事責任に問われた場合、罰金だけでなく懲役刑が科されることもあり、その後の人生に極めて深刻な影響を及ぼします。学園祭の準備や運営という一時的な活動が、関係者の人生を大きく変えてしまう可能性があるということを、十分に認識しておく必要があります。
社会的な信用を失う「道義的責任」(関係者全員)
道義的責任とは、法律上の義務とは別に、人として、また組織として果たすべき責任のことです。食中毒を起こしてしまったという事実は、学校や運営に関わった学生たちの社会的な信用を、大きく損なうことにつながりかねません。
SNSが普及した現代では、事故の情報は瞬く間に拡散されます。一度失った信用を取り戻すことは極めて困難です。この責任は法的なもの以上に、関係者の心に長く重くのしかかり、その後の学校生活や就職活動などに影響する可能性も考えられます。
イベント・催事におけるHACCPとは
イベント・催事の飲食物でも、製造・調理工程に合わせた「HACCPに沿った衛生管理」の指示が各自治体の保健所からあります。
HACCPに沿った衛生管理には、HACCPに基づいた衛生管理とHACCPの考え方を取り入れた衛生管理の二つがあります。イベントや催事で提供される飲食物の場合、多くはHACCPの考え方を取り入れた衛生管理が行われています。
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理は、重要管理のポイントと一般衛生のポイントをまとめた衛生管理計画を作成します。衛生管理計画は、営業許可・届出時に保健所から見られることがあります。
イベント・催事の事業者は衛生計画書を作成し、製造・調理の実施、記録付けが必要です。ほとんどの飲食物の製造・調理の場合、記録付けは1日に1回行えば十分であるため、イベント・催事の事業者は大きな負担にはなりません。
イベントや催事での食中毒リスク
イベント・催事の臨時店舗であっても食中毒は起こります。イベント・催事の食中毒は大規模になってしまうこともあり、損害賠償金も多額となるでしょう。イベント・催事の事業者は提供する飲食物と関係の深い食中毒菌を理解し、HACCPの管理方法を確立することが大切です。
ここでは、イベント・催事で実際に起こった食中毒事故とその原因の食中毒菌について確認します。
腸管出血性大腸菌
腸管出血性大腸菌の食中毒は、加熱不足の焼き鳥や非加熱品から起こります。腸管出血性大腸菌は、中心温度75℃・1分以上の加熱で殺菌できます。
焼き鳥などは適切な加熱を行えば食中毒は起こりませんが、非加熱品への交差汚染が起こるのです。非加熱品は適切な管理方法を確立できなければ、提供を控えることが必要があります。
冷やしキュウリから腸管出血性大腸菌食中毒
平成26年7月、露店の冷やしキュウリを食べた500人以上が食中毒になりました。給水設備のない仮設設備で漬込みや串刺しを行ったことから、腸管出血性大腸菌が混入したことが原因でした。
カンピロバクター
カンピロバクターの食中毒も75℃・1分以上の加熱で殺菌できます。イベント・催事でカンピロバクターが原因の食中毒になるのは、加熱不足が原因であることが少なくありません。また、現場で生ものを扱うことや現場での成形によって混入することがあります。
ささみ寿司からのカンピロバクター食中毒
平成28年4月、東京と福岡の肉フェスのささみ寿司やたたき寿司を食べた数百人が食中毒になりました。加熱不足によるカンピロバクター食中毒が原因でした。
黄色ブドウ球菌
黄色ブドウ球菌は、人の手指から食品に混入して食中毒を発生させます。手袋を着用することで手指からの混入を防ぐことができます。
ケバブからの黄色ブドウ球菌食中毒
平成28年7月、屋台のケバブを食べた6人が食中毒を起こしました。患者と材料から黄色ブドウ球菌が発見され、ケバブが食中毒の原因と明らかになりました。
ノロウィルス
ノロウィルスの食中毒はHACCPでは防ぐことができません。食品の十分な加熱のほか、石けんによる手洗いが大切です。
餅つき大会でのノロウィルス食中毒
平成30年12月の餅つき大会で、いそべ餅やきな粉餅を食べた140人以上が食中毒になりました。食品や器具の取扱いが不適切であったことが原因でした。
サルモネラ菌
サルモネラ菌は、中心までの十分な加熱(中心温度75℃・1分以上)で殺菌できます。そのほか、器具からの交差汚染対策が大切です。
タンドリーチキンからのサルモネラ菌食中毒
平成31年4月、イベントのタンドリーチキンを食べた7人が食中毒になりました。患者からサルモネラ菌が検出されました。鶏肉の十分な中心までの加熱ができていなかったことが原因でした。
ウエルシュ菌
ウエルシュ菌は芽胞を形成するため、加熱だけでは死滅しません。調理後の食品を10℃以下、65℃以上で保管することが大切です。
サンドパンからのウエルシュ菌食中毒
令和10年、サンドパンを食べた14人が食中毒になりました。患者とサンドパンからウエルシュ菌が検出され、原因はサンドパンのミートソースと特定されました。ミートソースを調理後に常温放置したことが食中毒を招いたのです。
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イベントや催事出店時の衛生管理のポイント

イベントや催事の飲食物の衛生管理で大切になるのは、十分な加熱のほか、一般衛生管理です。ここでは、次の3つの項目について確認します。
食品取扱者の衛生管理
イベントや催事では、食品取扱者から食中毒菌が飲食物に混入することが少なくありません。特にノロウィルス対策は大切です。食品取扱者の健康状態や衛生管理を適切に行いましょう。
販売機器の管理
イベントや催事では、販売機器から飲食物に汚染が広がる可能性があります。販売機器の洗浄・殺菌を定期的に行い、飲食物への交差汚染を防ぎましょう。また、販売機器が故障し、正確な数値を示せないならば、メーカーからメンテナンスを受けることも大切です。
表示・設置場所の管理
イベントや催事の飲食物は、環境からの汚染の可能性があります。飲食物を適切に保管し、食品表示の義務がない場合でも喫食者が口に入れるまでの食品情報にも気を使います。また、販売機器も環境からの汚染が考えられるため、設置場所にも気を使いましょう。
【PR】『はやラクHACCP』でイベント出店も安全に

HACCP対応の衛生管理は、飲食店や小規模事業者にとって非常に重要ですが、煩雑で手間がかかる部分も多く、負担を感じることも少なくありません。イベント出店時は食中毒のリスクもあります。そこでおすすめなのが、「はやラクHACCP」です。このシステムは、衛生管理のプロのノウハウを集約しており、HACCPに必要な手続きと実務をスムーズに進められるよう設計されています。
「はやラクHACCP」の主な機能
- 標準搭載の衛生管理計画書:基本情報を入力するだけで、約60項目の計画書が完成
- わかりやすい手順書:イラスト付きのマニュアルで、従業員教育にも活用可能
- アラート通知機能:記録漏れや異常を即座にお知らせし、管理の徹底をサポート
「はやラクHACCP」を活用すれば、複雑なHACCP管理がもっとシンプルになります。効率的な衛生管理を実現したい方、管理の手間を減らしながら安心して運用したい方にぴったりのツールです。衛生管理の負担を軽減しつつ、確かな衛生体制を築いてみませんか?
イベント出店前に必要な許可証
イベントの出店前に自治体の保健所で許可について確認することが必要です。ここでは、露天営業許可について確認します。
露店営業許可が必要なもの
露店営業許可は、提供できる項目が決まっています。露店形態の飲食店営業の項目に限られ、生食用食品は提供できません。
例えば、焼き鳥、たこ焼き、たい焼き、ホットコーヒーなどは提供可能です。かき氷やアイスクリームは条件付きで露店営業許可がおります。
また、ポップコーン、野菜、果物、コーヒー豆などは、露天営業許可が必要なく、提供できます。
露店営業許可以外で許可が必要なもの
露天営業許可以外の許可が必要な食品があります。
例えば、焼き菓子やパンなどは、菓子製造業許可が必要です。また、お惣菜はそうざい製造業許可、おにぎりやサンドイッチなどは飲食店営業許可が必要です。
また、ジャム、はちみつ、漬物などは、イベント出店を管轄する保健所に確認が必要です。
出店ができない食品
露店出店ができない飲食物は、食品衛生法で決められています。例えば、刺身、お寿司、食肉、魚介類、牛乳、アルコール類、クリーム類などです。
記録や管理をできるだけ楽にしたいなら
許可期限5年の露天営業許可を取得しイベントに出店すると、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理も必要です。HACCPの考え方を取り入れた衛生管理では、衛生管理計画や記録する必要が出てきます。
HACCPシステムを活用することで、計画や記録を電子化でき、手間と時間を省くことが可能です。露天営業は紙の記録を残すことは難しいため、HACCPシステムの活用を検討するとよいでしょう。
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食中毒が疑われた場合の初期対応
イベント開催時に、参加者から「体調が悪い」という報告を受けた場合、主催者がどのように対応するかが、その後の状況を大きく左右します。適切な初期対応ができれば、被害の拡大を防ぎ、原因究明をスムーズに進めることができます。ここでは、食中毒が疑われる場合に主催者が取るべき具体的な行動を、段階的に解説します。
体調不良者には医療機関の受診を促す
まず最優先すべきは、体調を崩した方の健康と安全です。状況を冷静に確認しながら、体調を崩した方には早めに医療機関を受診するよう、やさしく、しかし明確に伝えましょう。「大事ではない」と甘く見たり、様子見の判断をしたりするのは避けるべきです。医師の診断を受けることで、初めて食中毒かどうかが確定されます。
食品衛生法では、医師が食中毒と診断した場合、その診断を受けた医療機関または患者本人が保健所への届け出義務を負うことになっています。学園祭の主催者が受診をすすめることで、医師の診断につながり、保健所での調査もスムーズに進みます。医療機関への誘導は、単なる親切ではなく、適切な事後対応の第一歩なのです。
関係者へ速やかに事実確認と情報共有を行う
体調不良者から受診をすすめた後は、まずお見舞いの言葉を伝え、症状や食事内容、発症時間などを落ち着いて聞き取りましょう。この聞き取り内容は、後の原因調査で不可欠な情報となるため、正確に記録を残しておくことが非常に重要です。
複数の体調不良者がいる場合は、それぞれから類似の症状や食べた食品に関する情報を集めることで、原因が特定しやすくなります。集めた情報はすぐに主催者の関係者で共有し、対応の窓口を一本化しておくと、その後の混乱や二重対応を防ぐことができます。情報が分散していると、対応の判断ミスにつながる可能性があるため、組織内での情報共有は極めて重要です。
直ちに管轄の保健所へ報告し指示を仰ぐ
体調不良の報告を受けたら、医師の診断を待たずに、主催者から直ちに管轄の保健所へ連絡することが重要です。「もしかしたら食中毒かもしれない」という段階での連絡で構いません。むしろ、早期の報告こそが、被害の拡大を防ぐための社会的な責任です。
報告をためらってしまう気持ちも分かりますが、この行動がなければ、他の参加者への感染拡大を防ぐことができません。保健所に連絡することで、今後の対応について専門的な指示を仰ぐことも可能になります。保健所の職員は、食中毒に関する豊富な経験を持っており、その指示に従うことが、最も適切な対応につながります。
原因究明のため提供した食品や調理器具を保管する
原因を特定するための科学的な調査には、提供した食品や調理に使った器具が重要な証拠となります。残った食品はもちろん、まな板や包丁、ボウルといった調理器具も、洗浄や消毒はせず、保健所の指示があるまでそのままの状態で保管しておきましょう。
つい良かれと思って、片付けの際に器具を洗ってしまったり、残った食品を捨ててしまったりすることもあります。しかし、このような行動は原因を突き止めるための大切な手がかりが失われることを意味します。保健所の調査官が到着するまでは、「何も触らない」「何も変えない」という心構えが極めて重要です。
おすすめのHACCPシステム3選
Googleで「HACCP システム」「HACCPシステム ツール」と検索してそれぞれ10ページ目までを調査(2023年10月10日時点)。 HACCPシステムの公式サイトが表示された20製品(スマホアプリを除く)の中で、HACCP導入に必須となる「衛生管理計画書作成機能」と、記録の抜け漏れや問題があった時に管理者にお知らせが届く「アラート通知機能」がどちらも搭載されているHACCPシステムを3つご紹介します。
(ライオンハイジーン)

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