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自動販売機で考えるべきHACCPとは

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自動販売機でも「HACCPに沿った衛生管理」の導入は求められます。「HACCPに沿った衛生管理」は食品製造工場や飲食店だけでなく、農業を除くフードサプライチェーンに導入は必要だからです。ここでは、自動販売機のHACCPについて解説しています。

自動販売機におけるHACCPとは

自動販売機で食品や飲料を販売する場合でも、「HACCPに沿った衛生管理」を行うことが必要です。普通の自動販売機の商品は保管するだけなので、不要とされています。しかし、コップ販売式自動販売機の商品は販売時に製造工程を含むため、「HACCPに沿った衛生管理」が求められます。

また、厳格な温度管理が必要な冷凍食品の自動販売機も「HACCPに沿った衛生管理」が必要です。しかし、製造工程がない冷凍食品自動販売機は重要管理点の設定が不要。ただし飲食店が冷凍食品自動販売機を設置するときは、冷凍食品製造業や複合型冷凍食品製造業の営業許可が必要です。

対象となる自動販売機

「HACCPに沿った衛生管理」が必要な自動販売機は、食品や飲料の製造工程がある機器です。ここでは、これらの自動販売機の製造工程について考えていきます。

コップ販売式自動販売機

コップ販売式自動販売機の製造工程は大きく2つに分かれており、「シロップ類等を冷水又は湯で溶かして作るもの」と「焙煎した豆を挽きドリップして作るもの」です。

「シロップ類等を冷水又は湯で溶かして作る自販機」での製造工程は、「①受入・保管」「②自動販売機への充填」「③加熱/冷却/製氷」「④混合/攪拌」「⑤提供」です。

「焙煎した豆を挽きドリップして作る自販機」の製造工程は、「①受入・保管」「②自動販売機への充填」「③加熱/冷却/製氷」「④挽く」「⑤ドリップ」「⑥混合/攪拌」「⑦提供」です。

コップ販売式自動販売機の「HACCPに沿った衛生管理」では、衛生管理や温度管理が特に大切です。コップ販売式自動販売機における「HACCPに沿った衛生管理」には、どちらも「加熱/冷却/製氷」があり、重要管理点候補になります。

冷凍食品自動販売機

冷凍食品自動販売機で製造工程を含まない場合は、「HACCPに沿った衛生管理」における重要管理点の設定は必要なく、一般衛生管理を中心に行えば十分です。そのぶん食品の鮮度を保つために温度管理が食中毒対策として必須となっており、冷凍温度の記録が重要になります。

調理機能を有する自動販売機

調理機能を有する自動販売機は食品や飲料の製造工程を含むため「HACCPに沿った衛生管理」の重要管理点の設定が原則必要です。例えば、食品の加熱温度が重要管理点になる場合があります。

また「HACCPに沿った衛生管理」の前提となる一般衛生管理の実施も求められます。調理機能を有する自動販売機では、HACCPの重要管理点を適切に管理することが食中毒予防につながります。

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一般的衛生管理のポイント

一般衛生管理は「HACCPに沿った衛生管理」を取り入れる前に前提として実施する内容です。「HACCPに沿った衛生管理」を取り入れたとしても一般衛生管理は今までと同じように実施しなくてはいけません。

自動販売機の一般衛生管理は、食品衛生管理者、ルートセールス、サニテーションクルーなどの食品取扱者が実施します。スタッフは自動販売機について把握し、一般衛生管理のポイントを押さえておく必要があります。

食品取扱者の衛生管理

食品衛生管理者はルートセールスやサニテーションクルーへ衛生教育を行います。教育後のルートセールスやサニテーションクルーが一般衛生管理を実施し記録。通常の自動販売機においては、スタッフが衛生管理を行い、食品衛生管理者がチェックするのが一般的です。

自動販売機の食品取扱者は、自動販売機の食品を取り扱う場合は手洗いと消毒を丁寧に行い、衛生的な作業着で衛生管理を行います。また、病気があるときには他のスタッフと交代するなど、衛生管理を控えることが大切です。

販売機器の管理

自動販売機の温度計などの機器が正常に作動しなければ精度の高い一般衛生管理が出来ないため、まずは自動販売機が正常に作動するかを点検します。定期的な作動状況の点検のほかに、温度計を正しい数値に合わせる校正なども必要です。

食品衛生5Sに沿った清掃を行い、食品接触面は特に注意して洗浄・殺菌します。殺菌の洗剤は適切なものを使用し、殺菌後は十分な洗浄を行いましょう。

水・食品の管理

自動販売機がカートリッジ式給水タンクを使用している場合は、タンクと連結部分の衛生状況を都度チェック。タンクに水を供給する前には十分な洗浄を行いましょう。

商品を補充・充填する際には、手指からの汚染や異物混入に注意し、商品の保存温度にも配慮して作業を行う必要があります。

表示・設置場所の管理

食品表示法によって、正確な食品表示が外部から識別できる状態が必要と定められているため、アレルゲン表示がしっかりされているか確認しましょう。故障時の連絡先や営業許可書のコピーを自動販売機の見やすい位置に掲示します。

自動販売機の設置場所は、定期的に清掃を行い清潔な環境を保つことが大切です。昆虫やネズミが発生したときは、食品衛生に影響を及ぼさないよう迅速に駆除しましょう。

排水・廃棄物の処理

排水や廃棄物の処理は定期的に行います。排水・廃棄物容器付の自動販売機は、廃棄物を回収するたびに容器を洗浄します。

廃棄物容器が自動販売機の外にあるときは、汚液や汚臭がもれないように定期的な洗浄を行います。排水バケツの洗浄も合わせて実施してください。排水や廃棄物は食中毒菌が発生しやすく、隅の方までしっかりと洗浄・殺菌することが大切です。

保健所等への報告

自動販売機の商品から食中毒が発生した場合、保健所への連絡が必要です。異味、異臭、異物混入など、食中毒にまでなっていないケースであっても、直ちに保健所へ連絡します。

すぐに対応できるよう、管轄保健所の連絡先は準備しておきましょう。事前に食中毒が発生したときの保健所等への対応についてリコール計画を定め、訓練しておくことが大切です。

記録や管理をできるだけ楽にしたいなら

自動販売機の「HACCPに沿った衛生管理」は、衛生管理の項目ごとに記録しておくことが求められます。ルートセールスやサニテーションクルーが「HACCPに沿った衛生管理」の記録を紙でする場合、負担が大きいもの。また、食品衛生管理者の確認時にも紛失やチェック漏れなどのリスクが高まります。

多くの紙の記録の手間を省くためには、「HACCPに沿った衛生管理」の記録の電子化が必要です。HACCPシステムを取り入れることで、HACCP文書と記録を簡単に管理できます。自動販売機の「HACCP」の手間を省くには、HACCPシステムを活用することは有用です。

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ページ監修:力丸修也
行政書士、JHTC認定HACCPリードインストラクターとJFS監査員研修修了。
HACCPコンサルタントとしては、レトルト食品会社、そうざい業、冷凍食品業者等の実績あり。

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