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HACCP導入・運用に関するQ&A

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ページ監修:力丸修也
薬機法・食品衛生法専門の行政書士。公益社団法人食品衛生協会のHACCP普及指導員を取得し、地域のHACCP導入・運用を実施している。HACCP支援実績は、飲食店、パン製造業、惣菜製造業、レトルト食品製造業、菓子製造業など。難しいHACCPを分かりやすく導入する努力をしている。

フードサプライチェーンへのHACCP導入も進み、科学的管理方法による食品安全の考え方も定着しつつあります。HACCP導入に慣れたならば、その運用に注意を払う必要があります。ここでは、HACCP普及指導員がHACCP導入・運用に関する疑問に回答していきます。

モニタリングの頻度はどうやって決めるべき?

モニタリングが非連続的である場合は、十分な頻度を確保することが大切です。例えば、飲食店の加熱工程のモニタリングは、1バッチごとに行います。重要管理点が守られていることの確認がモニタリングの目的であることを意識して、頻度を決めればよいでしょう。

夏場は室温30℃超え!HACCP導入時の室温管理は?

HACCPの前提となる一般衛生管理の項目に施設の温湿度管理があります。食中毒菌の増殖や従業員の健康への影響があるからです。施設の温湿度管理では、十分に換気し高温多湿を避けることが必要です。調理場ではなるべく「湿度80%以下」「温度25℃以下」を維持しましょう。

冷却機器がないのにポテトサラダなどの冷菜提供はできる?夏場は危険?

急速冷却器は、危険温度帯(10℃~60℃)をできるだけ早く通過させることが目的です。大量調理施設衛生管理マニュアルでは、2時間以内に危険温度帯を通過するように指導しています。急速冷却器がない場合、冷蔵庫などの設備で冷却時間の条件をみたすことができるかを確認します。そして、できない場合は提供しないことも検討しましょう。

煮物や汁物もモニタリングが必要?

煮物や汁物の調理で、微生物の殺菌温度である75℃・1分以上の加熱条件を常時満たしているのならば、重要管理点として設定せず、モニタリングを省略することも可能です。HACCPであっても重要管理点を必ず設定するとは限りません。

天井にカビが生えた!天井の張り替えや空調設備の増設が必要?

天井のカビは、HACCPの前提である施設設備の要件として管理します。天井までの清掃・殺菌等に取り組み、張替えや空調設備の導入もできれば行いたいですね。

妥当性確認と検証の違いは?

妥当性確認は、HACCPプラン作成時に重要管理点への対処が適切かを確認します。検証は、HACCPを運用して問題がないかを確認します。つまり、導入時が妥当性確認、運用時が検証と考えましょう。

許容限界(管理基準)と運用基準の違いは?

許容限界は、科学的なデータを取り入れ、重要管理点が守られる基準です。重要管理点が守られる最低限の基準ともいえます。運用基準は、許容限界を満たしたうえで、事業所ごとの重要管理点の管理基準のことです。食品事業者は、食品安全だけでなく、食品の美味しさなどを考えることから運用基準を定めています。

トイレ掃除は毎日の実施が必要?

トイレは微生物やウィルスによる汚染地域です。ノロウィルスなど、トイレから店内に拡散した場合は、食中毒の原因になります。トイレ掃除は毎日行いましょう。

既にある食品衛生責任者や食品衛生管理者以外に、HACCPに関する有資格者の設置は必要?

HACCPの有資格者を事業所に設置する必要はありません。しかし、事業所に合ったHACCPに更新していくことは必要であるため、食品衛生協会などの研修を受けてみるとよいでしょう。中規模以上の施設ではHACCP研修を受講したスタッフが在籍することは意義があります。

農業や水産業もHACCPに沿った衛生管理の対象になる?

HACCPは、農業や水産業などの1次産業を除く、フードサプライチェーンへの導入が必要です。しかし、HACCPの本質がプロセス管理であることを意識し、農業や水産業でも一般衛生管理を適切に行いましょう。HACCP制度化で、一次産業への食品安全の監査は厳しくなるでしょう。

(小規模事業者)食品等の取扱いに従事する者の数が50人未満であるかどうかは、どのように計算すればいい?

事業所の従業員の数については、前年の各月1日あたりの食品の製造等に従事していた数の平均に基づいて判断されます。事業所における各月の1日あたりの平均従事者数=(1ヶ月の従事者全員の労働時間の合計)÷{(1ヶ月の歴日数(30日程度))÷7(日)×5(日)}÷8(時間)

「食品等の取扱いに従事する者」には、総務の担当者など食品等の製造・加工に直接的に携わらない者も含まれる?

食品製造等に直接かかわらない従業員は、除かれます。平均従事者数の計算時、対象外の人が含まれていないか注意しましょう。

施設の立入調査、衛生管理計画の確認等のタイミングや頻度は改正前と比較して変わる?

HACCP制度化後も、施設の立ち入りの頻度は変わらない都道府県が多いです。衛生管理計画の確認等は保健所の営業許可申請時に確認されます。その他、食品安全に関するトラブルの発生時も保健所の職員の施設への立ち入りは行われます。

「HACCPに沿った衛生管理」を実施していない事業者から仕入れた食材を使用した場合、食品衛生法違反になる?

HACCPに沿った衛生管理を実施していない事業者から食材を仕入れて使用しても、食品衛生法違反になることはありません。しかし、購買管理の基準を整えれば、HACCP実施業者からの食材の仕入れは増えるでしょう。

「HACCPに沿った衛生管理」を実施している認証は必要?また、認証の取得は営業許可の要件がいる?

HACCPの導入と第三者による認証は別です。食品安全の認証は必須でなく、認証取得は営業許可に必要ありません。食品安全の認証を取得すると、取引先が安心して仕入れることができます。

事業者が民間認証を取得している場合、「HACCPに基づく衛生管理」を実施しているといえる?

FSSC22000、ISO22000などの認証を取得していれば、「HACCPに基づく衛生管理」の要件をみたします。認証取得で、事業者間の監査も省略できることが多いです。

食品衛生法施行規則に規定された一般衛生管理の基準のうち、手引書に記載されていない項目は実施しなくてもよい?

手引書の一般衛生管理の項目は、一般的な項目です。事業所独自の一般衛生管理の項目があるならば、その項目も追加し実施しましょう。

古い施設でもHACCPの実施は可能?

HACCPの導入は、ハードの施設・設備ではなく、ソフトの衛生管理手法を意味します。古い施設・設備でもHACCPを実施することは可能です。そのときは工夫が必要となるでしょう。

HACCPチームを編成する目的は?

食品安全に責任を持つ人材を明確化し、責任を持つことです。そして、HACCPチームを中心に食品安全の教育訓練を実施します。HACCPチームは、経営者のコミットメントを受け、食品事業所の食品安全・衛生に責任を持ち実施します。

HACCPチームにはどういったメンバーが必要?

食品安全に精通した人材。製造工程を理解した人材。品質管理の人材。経営者サイドの人材。事業所の規模や食品安全の体制を考慮し、メンバーを決めていきます。

専門的な知識がなくHACCPチームを組めない場合は?

食品衛生協会の研修などで自社に専門的知識を持つ人材を養成するのがよいです。また、外部のHACCPコンサルタントに依頼し、支援を受けることも可能です。

HACCP計画を立てる場合にどんな内容を記載するべき?

製品説明書と製造工程図から危害要因分析を行います。そのため、製品説明書に記載する原材料、添加物、アレルゲン、賞味期限、喫食方法などの情報が必要です。また、正確な製造工程の情報も必要です。

危害要因分析ってなに?

喫食者の健康を害するおそれのある危害要因を洗い出すことです。製品説明書と製造工程図から洗い出します。そして、HACCPで管理する危害要因を決定します。HACCPで管理する危害要因には、生物的危害要因、化学的危害要因、物理的危害要因があります。

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