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食品工場の工程管理で知っておきたいポイント

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工程管理は、製品の製造工程を計画的に管理・統制するマネジメントで、食品工場においては「原材料の受入・保管」「成形・充填」「加熱」「冷却」「包装」などの製造工程を適切に管理・統制します。ここでは、食品工場の工程管理について詳しく解説しています。

工場における工程管理とは

製造業は「Quality(品質)」「Cost(コスト)」「Delivery(納期)」の向上を考えて生産管理を実施しています。生産管理の中でも、製品の製造工程を計画的に管理するのが工程管理です。

工場の工程管理で重要になるのは「作業工程の決定」「生産計画と業務負荷の管理」「工程の進捗管理」です。製品の製造における作業内容、人材、生産能力や負荷工数などを明確化し、製造工程の進捗を管理します。生産管理を行うにあたり、工程管理の実施は必須です。

工程管理の目的

製造業の工程管理の目的は「納期の遵守」「安定した品質」「生産性の向上」の3つです。

「納期の遵守」は顧客満足度・ニーズをみたすために重要な要素です。工程管理によって人材・生産設備を適切に管理することで、製品を納期に間に合うように製造できます。

「安定した品質」は製造業にとって必須の要素と言えるでしょう。生産量が増加しても品質不良が多ければクレームにつながります。工程管理によって一定の品質を保てているか確認することで、安定した品質の製品を消費者へ届けることが可能です。

また、「生産性の向上」を達成することにより、企業の付加価値を高められます。無駄のない工程への改善は生産ライン効率化につながり、生産性の向上を実現できるでしょう。

工程管理が必要になる理由

生産管理はQCDのリソースの配分を決定し、原材料の調達から出荷までの製造工程全体を管理します。しかし、スケジュール通りの製造を行うためには各々の工程を適切に管理することが大切です。確実な生産計画を立て、生産設備・ラインを適切に管理・統制するためには、大まかな生産管理だけでは足りません。工程管理を適切に行うことで、細やかな生産管理ができるようになります。

生産管理との違い

生産管理は以下のような生産に係るマネジメントを指します。

工程管理は製造プロセスのマネジメントとして、製造工程を見える化し、各々の工程を厳密に管理します。生産全体の管理が「生産管理」、生産における製造工程の管理が「工程管理」です。

工程管理の手順

工程管理はPDCAサイクルにもとづき、生産計画を立てて計画を実行し、行動を評価。その後改善策を実施します。

生産計画においては、需要予測に基づき生産量と生産時期を決めます。その際、作業量が作業負荷と合うように計画を立て、工程管理表に基づき製造プロセスごとに実行。実行した内容が計画通りに実行できているかを確認します。もし計画通りに進んでいない場合、QCDリソースの再配分を考えます。行動の評価の改善策を立てて製造工程を見直し、仮設・検証を繰り返し行います。

製造業の現場ではPDCAサイクルを守ることによって、工程管理が最適化されます。

工程管理を効率化するための手法

工程管理を効率化する手法には「工程の見える化」「工程表の活用」「工程管理システムの導入」があります。それぞれの手法について考えてみましょう。

工程の見える化

工場の工程管理を効率化するために、工程の見える化をはじめに行います。見える化をするにあたって、モノ・4M(人、機械、材料、方法)・情報の3要素を考えることが重要です。

加えて工程ごとの課題を明確にするとともに、従業員で課題を共有できるようにします。工程ごとの課題としては、生産の進捗状況、ロス率、在庫状況などが挙げられます。

工程を見える化するシステムは、解決すべき課題によって導入すべきものが異なります。実際に稼働しているシステムには、原材料の仕入れや在庫の見える化、原材料の歩留まり率の見える化、トレーサビリティ機能の見える化等の種類があります。

工程表の活用

工程の見える化ができたら、工程表を作成します。工程表には「バーチャート工程表」「ガントチャート工程表」「グラフ式工程表」などいくつか種類がありますが、各工程表にはそれぞれメリット・デメリットが存在するため、自社工場に合った工程表を選択しましょう。

工程管理システムの導入

工程管理システムは、IoTシステムを活用した製造プロセスの管理・統制を可能にします。進捗管理やコスト管理をデジタルで行え、必要な生産能力や負荷工数の算出が可能です。工程表の作成もできるため、計画から実行まで効率的に工程管理ができます。製造プロセスの分析データを照合できるシステムであれば、バーチャート工程表やガントチャート工程表の作成も簡単です。データ重視の工程管理は、やみくもに生産を行うよりも組織全体の生産性の向上につながります。

工程管理におけるHACCPの重要性

製造工程の食品安全を管理するHACCPは、食品製造の工程管理で重要な位置を占めます。食品製造の現場では、工程管理とHACCPにもとづく衛生管理を同時に実施することが大切です。

「HACCPにもとづく衛生管理」の実施が必須

食品製造の工程管理を行う場合は「HACCPに基づく衛生管理」について理解することが大切です。コーデックスの12手順7原則通りに実施する「HACCPに基づく衛生管理」は、まず製造工程図(フローダイアグラム)を作成します。製造工程図の工程ごとに危害要因分析を行い、食品事故につながる危害要因の管理方法を確立。例えば、加熱工程、冷却工程、金属探知工程が重要管理点になります。

システム導入でより効率的な管理が可能

食品製造の工程管理は、HACCPと密接にかかわっています。製造現場では生産性の向上だけでなく、食品安全に対しても意識を向けることが必要になるためです。食品製造時の工程管理や衛生管理を実施する際、多機能なHACCPシステムを導入することで、より負担を減らして効率的な取り組みができるでしょう。

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